植木の天敵

こんにちは。小俣造園の小俣聖です。本日はご自宅に庭や植木のある方にとって役立つ知識、植木にとっての天敵となる「あるもの」とそれに対する解決策をできるだけわかりやすくお話しできればと思います。

 

まず、ここでいう天敵とは植木の健全な生育を妨げるだけでなく、樹勢悪化や樹形の美しさを妨げる原因となるものを指します。おそらく、多くの方が思い浮かべるのは植木の病気、あるいは害虫といった類のものかと思います。しかし、この記事を読んでいただければ天敵となるものを専門的な知識や経験がなくてもご自身で十分に対策が立てられますので、長くはなりますが是非ご一読ください。

 

 

さて、植木の天敵となるもの。それは「日陰」です。なぜこれが植木にとっての天敵となるのか詳しく説明します。

 

植木に限らず、植物は生命維持、成長のために光合成を行います。この光合成には物質として水と二酸化炭素、条件として十分な光エネルギーを必要とします。日陰というものはこの光エネルギーを遮断し、植物の十分な光合成を妨げます。こちらの写真をご覧ください。

生垣をカラスウリというツル性の雑草が多い、その葉が日光を遮ります。雑草を取り除くとおおわれていた部分のほとんどは枝枯れを起こしています。決して病気や害虫にかかったわけではありません。樹木自身が光合成を十分に行えない枝葉は不要と判断し、その部分の成長をストップさせるのです。代わりに光合成が十分にできる条件を求めて、日光の当たる部分へ枝葉を伸長させていきます。しかし、樹木よりも雑草の成長スピードの方が遥かに速いため、そのままにしておくとあっという間に樹木全体を覆い、光合成できなくなった結果、枯れてしまうということが起こります。

 

 

写真では雑草を例にとりましたが、植木にとって天敵となる場合の日陰の発生には他にも

①植木同士が密着するほど成長してしまった枝同士の重なり部分

②樹高の高い植木の下部

③枝葉の茂りすぎ

 

といったものが多く見られます。さらに日中も常時日陰となる湿り気の多い環境では、植木の病気の原因となるカビや細菌類、害虫の温床となる場合もあります。加えて③では日光の当たらない内側では新しい枝葉の伸長がなく、枝の入れ替えが難しくなるため植木の美観的側面から考えてもマイナスの要因になります。

 

 

以上のことを踏まえると、第一に日中も常時日陰となるような環境を作らないということが大切です。そういった環境には植木を植栽をしない、植木を覆うようなツル性の雑草を発生の初期段階で取り除く等といったことは職人でなくても可能なはずです。ご自身の手に負えないと思ったら植木屋に相談をすればいいのです。

 

まず、植木にとって生きづらい環境はどんな場所なのかといったことを知っていることが重要で、それさえあればその先の対策を自分でするのか、それとも専門家である我々のような人に頼むのかといった選択肢が出てきます。

 

直射日光による眩しさ、夏場の気温上昇を抑えるという効果を得るために植木を用いて日陰を作るということも大切です。しかしながら、人間と樹木のどちらにとっても最適な環境は何かということも非常に重要な観点です。

 

生き物としての植木。その生命にどれだけ寄り添うことができるかを考えて環境、空間作りをしていくために一人でも多くの方にこういったことをこれからもお伝えできればと思います。

 

それでは失礼します。次回の更新もお楽しみに!

 

小俣

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コメント: 2
  • #1

    かずや (金曜日, 23 2月 2018 00:26)

    次も楽しみにしてます!

  • #2

    小俣造園 (金曜日, 23 2月 2018 11:57)

    かずや様
    コメントありがとうございます。
    植物と人間、そのどちらにも最適な環境を目指すために今後とも記事を更新していきますね!