こんにちは。小俣造園の小俣聖です。季節もすっかり秋めいてきましたね。この時期から年末にかけては毎年個人のお客様の庭木の手入れで忙しくなる時期です。樹木の成長もストップするこの時期に手入れをすると来年の春までお庭を綺麗な状態に保つこともできますし、尚且つ落ち葉の掃除も最小限にできますからね。ただ成長がストップする故に適度な手入れの仕方をとらないと、植木に多大なダメージを与えかねませんので注意が必要です。
さて、今回は少し私の個人的なお話になります。先日伺ったお客様のシンボルツリーの手入れを親方から任せてもらったのです。シンボルツリーとは名前の通り、そのお宅で一際目を惹くような植木のことで日本庭園で古くからある「門かぶり」もその一種と言えるでしょう。写真はその手入れが終わったときのもので、昔からこちらにあるモチノキの仕立物です。
写真には収まっていませんが、こちらのお宅は地元のJR沿線にあり、道路にも面しています。また高さも7m近い大きさでその存在感が多くの人の目につく植木です。以前は親方や先輩が担当していたものを任されたので、私も身が引き締まる思いでした。親方も常々「小俣造園の看板を背負っているからには」と言いながら手入れをしていましたので、今回任されたことでその片棒を少し担げるようなったと認められたということでしょうか。父親と言えども自分の手入れを人に認めて貰えるようになったというものは嬉しいことですね。
このモチノキは刈込鋏での手入れですが、葉を切らずにそのままの形で残したかったので枝だけに鋏が入るようにしてあります。冒頭にお話ししたように、これからの季節は樹木の生長がストップするため葉ごと切ってしまうと葉が白く変色して青々とした見た目が損なわれてしまうからです。寒中の季節になるとそれが顕著に表れます。葉ごと刈込む方法だと手入れの直後は綺麗だけどしばらくすると葉が枯れ落ちて寒々しい見た目となってしまうということがよくあります。このあたりはマニアックすぎて同業の方ぐらいしかわからないことなのですが、「へぇ~そうなんだ」くらい知っていただけると嬉しいです。
それでは失礼します。次回の更新もお楽しみに!
小俣
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miki3 (土曜日, 16 2月 2019 11:59)
こんにちは、また拝見します。
とても綺麗に仕上がっていますね。玉の輪郭も。
さて「刈込鋏で葉を切らず枝を・・」というのは全てをでしょうか。
手の届くところは木鋏、遠くは刈込鋏を使うのであれば分かり易いのですが。如何でしょう。
玉の裏側などはどのようにされるのですか。
またこの樹はどのくらいの時間を使われましたか。
教えていただければ幸いです。
小俣造園 (土曜日, 16 2月 2019 21:05)
miki3様
お褒めの言葉有難うございます。
基本的には全ての玉で枝を狙って刈込鋏を入れていますが、どうしても葉が切れてしまう場合はあります。
そのような切れる葉を少なく、目立たなくさせるためにこちらのモチノキは全体を浅く刈込み、そのうえで剪定鋏、木鋏等で枝を抜き、葉を減量させて仕上げています。
ブログに書いた「葉ごと刈込む」というのは正確には刈込鋏で深くまで刈ることで葉を減量させるということで先程の方法と透ける具合は同じですが、切れる葉が多くなるため変色が寒い時期になると目立つようになります。
また、玉の裏側というのがどの部分なのか分かりかねるのですが、玉を作る枝それぞれは自然な形になるように立枝や逆枝は抜いています。
手入れには1人工(職人1人で1日)掛かっています。刈込のみであったり、多少の玉のガタツキを許容するのであればもっと早く済みますが、そうではない職人の手入れというものをさせていただけるお客様に感謝ですね。
小俣